Sansui AU-α707 アップグレード
メーカー：Sansui｜発売年：1986年

製品概要
AU-α707は、Sansuiが1980年代後半に提唱した α-Xバランスサーキット を中核に据え、デジタルソース時代を強く意識して開発されたインテグレーテッドアンプです。一般的なアンプとは異なり、スピーカーの＋側と−側をそれぞれ独立したアンプで駆動するバランスアンプ構成を採用しており、出力段には実質的に4基のパワーアンプが搭載されています。これにより、グラウンドの影響を受けない純粋なアンプ動作を実現しています。
プリ部においても、入力信号を正位相と反転位相に分離・再構築する回路を備え、信号をグラウンドから切り離した状態で増幅する設計となっています。さらに電源部もアースから独立させる構成とすることで、電源ノイズの影響を最小限に抑えています。AU-α707は、回路全体を通して「グラウンドに依存しない増幅」を徹底した、Sansuiらしい思想が色濃く表れたモデルです。

アップグレード内容
本機は、オリジナル設計の思想及び本来の音質を尊重しつつ、動作余裕度と信頼性を高めることを目的としてアップグレードを行っています。
パワーアンプ部ドライバ段のトランジスタの電流マージンを拡大、電源回路については整流ダイオードの電流マージンを従来比で2倍以上確保する構成とし、負荷変動時及び高出力時や瞬時的な信号変化においても余裕をもった動作が可能となり、パワーアンプ部が要求する電流を安定して供給できる状態に整えています。また、電源系および信号出力系のケーブルにはOFCケーブルを使用し、信号伝送の安定性と信頼性を高めています。

製品状態・レストア内容
本商品は、単なる部品交換や追い半田による再半田ではなく、長期使用を前提とした信頼性の回復と向上を重視したレストアを実施済みです。
劣化が確認された部品は、電気的スペックはもちろん音への影響やサイズ感までも考慮し選定した部品に交換しております。
半田については、長年の熱や振動により生じるハンダ内部の劣化や微細なクラックをリセットするため、全基板の既存ハンダを一度完全に吸い取り、あらためて再ハンダを行う工程を実施しています。その後、基板フラックス洗浄を行い、さらに基板絶縁コーティング処理を施すことで、湿気や汚れによる影響を受けにくい状態に整えています。
スイッチおよびボリューム類については完全分解を行い、接点を一点ずつ磨き直したうえで、酸化・硫化防止処理を施して組み上げています。
本商品は、よくある整備済み中古品販売品ではなく、クラフテッド・オーディオの特徴である設計当時に意図された性能を、現代の使用環境で安定して発揮できる状態へ引き上げたアップグレード個体です。音質だけでなく、信頼性と再現性を重視して仕上げています。
※USED品のため、外装には経年使用によるスレや小傷があります。

交換部品
オペアンプ
ダイオード
トランジスタ
電解コンデンサ
半固定抵抗
出力リレー
放熱シート
ヒューズ

保証・アフターサポート
本機には ご購入日より1年間の動作保証 をお付けしています。通常使用における不具合については、点検・対応を行います。保証期間終了後についても、継続的なメンテナンスが可能です。
ヴィンテージオーディオは、使い続けることで価値が育っていく財産だと考えています。本機も、末永くお使いいただくことを前提に整備・販売しています。

主な仕様（メーカー公表値）
＜パワーアンプ部＞ 実効出力160W＋160W（6Ω）、130W＋130W（8Ω）、全高調波歪率0.003％以下、ダンピングファクター100（6Ω）、周波数特性DC〜300kHz、SN比120dB以上＜イコライザー部＞ Phono MM／MC対応、周波数特性最大300kHz、SN比最大110dB＜総合＞ 定格消費電力320W、外形寸法 幅448×高さ160×奥行441mm、重量20.3kg

付属品
なし（本体のみ）