JBL L110
メーカー：JBL｜発売年：1978年

■ 製品概要
L110は、JBLがスタジオモニターで培った設計思想を基盤に、家庭用としての扱いやすさと音楽性を両立させたブックシェルフ型スピーカーシステムです。
プロ用途の技術を踏まえつつ、リスニングルームでの使用を前提としてまとめ上げられたモデルで、
1970年代後半のJBLを代表する一機といえます。

ウォルナット仕上げのエンクロージャーは、音響的な合理性だけでなく、インテリアとしての佇まいにも配慮されたものです。

■ ユニット構成・音響設計
低域には、25cmコーン型ウーファー LE111A を搭載しています。
コーン紙裏面には独特のコンパウンド剤によるコーティングが施され、剛性と内部損失のバランスを最適化。
高い能率と量感のある低域再生を両立しています。
公称では1kHz以下を担当するユニットですが、実際にはより高い帯域まで滑らかなレスポンスを持ち、中域とのつながりを自然なものとしています。

中域には、13cmコーン型スコーカー LE5-10 を採用しています。
2.2cm径ボイスコイルと高磁束密度の磁気回路により、中音域の能率と過渡特性を向上。
硬質素材のコーン紙とアルミ製センタードームにより、大入力時の安定性と高域側の再生能力も確保されています。
これにより、トゥイーターとのつながりも良好です。

高域には、30kHz以上の再生能力を持つ2.5cmドーム型トゥイーター 033 を搭載しています。
フェノール樹脂を含浸させたリンネル布を、織り目が45度で交差するよう張り合わせたドーム構造により、軽量性と剛性を両立。
ドーム径と同一のボイスコイル径とすることで、優れたトランジェント特性と耐入力性能を確保しています。

■ エンクロージャー
エンクロージャーはバスレフ方式を採用し、JBLらしい力感のある低域再生を支えています。
1970年代JBLを象徴するウォルナット仕上げの外観は、音楽再生機器としてだけでなく、
空間の中で確かな存在感を放つ佇まいを備えています。

■ 製品状態・レストア内容
本機は、弊店技術者にてメンテナンスおよび各部の状態確認を実施しています。
ウーファーについては、劣化していたウレタンエッジを張り替え、あわせてコーン紙の着色処理を行うことで、本来の動作と外観上の印象を回復しています。

アッテネーターは完全分解を行い、接点を一点ずつ整備することで、接触不良や音切れの発生を防いでいます。
スピーカー端子については、バナナプラグ対応の端子へ交換し、現代的なシステムとの接続性を向上させています。

エンクロージャーはクリーニングを行い、全体のコンディションを整えています。

本機は、単なる中古スピーカーとしての販売ではなく、ユニット本来の性能を取り戻し、安心して使い続けられる状態へ整えた一組です。
L110の特徴である、明確な輪郭とバランスの取れた3ウェイ構成が、設計意図どおりに発揮されていることを確認しています。
※USED品のため、外装には経年使用によるスレや小傷があります。

■ 保証・アフターサポート
本機には、ご購入日より 1年間の動作保証 をお付けしています。
通常使用における不具合については点検・対応いたします。
保証期間終了後についても、継続的なメンテナンスのご相談が可能です。

ヴィンテージオーディオは、使い続けることで価値が育っていく財産だと考えています。
本機も、その一部として末永くお使いいただけることを前提に取り扱っています。

■ 交換済部品
・ウレタンエッジ
・スピーカー端子

■ 主な仕様（メーカー公表値）
型式：3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
使用ユニット：
・低域用25cmコーン型（LE111A）
・中域用13cmコーン型（LE5-10）
・高域用2.5cmドーム型（033）
インピーダンス：8Ω
クロスオーバー周波数：1kHz、4kHz
出力音圧レベル：89dB
外形寸法：幅362×高さ597×奥行286mm
重量：約23kg（梱包時）

■ 付属品
なし