PIONEER PL-1250
メーカー：PIONEER｜発売年：1975年

■ 製品概要
PL-1250は、PIONEERが1970年代半ばに投入したダイレクトドライブ方式のレコードプレイヤーです。
回転精度と動作安定性を重視し、当時としては先進的な光学式パルス検出による周波数制御方式を採用しています。

外部環境の影響を受けにくく、常に一定の回転数を維持することを目的とした設計は、
アナログ再生における基本性能を正確に追求したものといえます。

■ 駆動系・回転制御
駆動モーターには、負荷特性に優れたブラシレスDCサーボ・ダイレクトドライブモーターを採用しています。
回転数検出には、発光ダイオードとフォトトランジスタを組み合わせたフォトエレクトリック・パルス検出方式を用い、回転数をパルスとして検出し、その周波数変化をもとに回転制御を行う構成となっています。

この方式により、回転数のズレに対する応答が速く、温度や湿度といった外的要因の影響も受けにくい、安定した定速回転を実現しています。
ダイレクトドライブ方式ならではの立ち上がりの良さと、安定した回転性能が本機の大きな特徴です。

■ トーンアーム部
トーンアームには、新設計のS字型パイプアームを採用しています。
水平回転部および垂直回転部の双方に高精度アンギュラコンタクトベアリングを用いることで、摩擦を低減し、高い感度と滑らかな追従性を実現しています。

また、このベアリング構成により耐久性が高められており、支持部のガタつきに起因する不要な共振が発生しにくい構造となっています。
アナログ再生において重要となるトラッキング性能を、安定して確保できる設計です。

■ 製品状態・レストア内容
回路部については、経年劣化が確認された部品を中心に交換を行い、電気的な安定性と信頼性を回復させています。
また、回転系についても分解・点検を行い、軸受部を含む各部のオイル交換を実施することで、スムーズで安定した動作状態に整えています。

本機は、単なる動作確認に留まらず、PL-1250が本来備えている回転精度と操作性を、現代の使用環境でも正しく発揮できる状態へ仕上げた個体です。

■ 交換済部品
・タンタルコンデンサ
・電解コンデンサ
・半固定抵抗

■ 主な仕様（メーカー公表値）
＜ターンテーブル部＞
モーター：ブラシレスDCサーボモーター
駆動方式：ダイレクトドライブ
ターンテーブル：31cm径 アルミ合金ダイキャスト製
慣性質量：200kg・cm²
回転数：33 1/3、45rpm
回転数切替：純電子式
回転数調整範囲：±2％（各回転数独立調整）
回転ムラ：0.03％以下（WRMS）
S/N比：60dB以上（JIS）
使用温度範囲：＋5℃〜＋35℃

＜トーンアーム部＞
アーム形式：スタティックバランス S字型パイプアーム
実効長：221mm
オーバーハング：15.5mm
取付カートリッジ質量：4g〜14.5g（9.5g以上はサブウェイト使用）
軸受構造：
・垂直：アンギュラコンタクト・ピボットベアリング
・水平：アンギュラコンタクト・ボールベアリング

付属機構：
アンチスケーティング機構
ラテラルバランサー
アームエレベーション
針圧直読カウンターウェイト
アーム高さ調整機構
プラグイン式ヘッドシェル

＜その他＞
付属機構：ストロボ照明ランプ、ヘッドシェルスタンド×2（EPアダプター受け共用）
電源：AC100V 50Hz／60Hz
消費電力：5.0W
外形寸法：幅480×高さ185×奥行410mm
重量：9.0kg

■ 付属品
EPアダプター
オーバーハングゲージ
サブウェイト