LUXMAN LX38
メーカー：LUXMAN｜発売年：1978年

■ 製品概要
LX38は、初代SQ38Fから続くLUXMANの管球式アンプ「38シリーズ」において、4代目にあたるステレオ・インテグレーテッドアンプです。
真空管アンプとしての音質と実用性を両立させることを目的に、回路・機構の両面から設計の見直しが行われたモデルです。

■ 回路設計・増幅思想
プリアンプ部は、イコライザー回路とトーンコントロールを兼ねたフラットアンプ回路によって構成されています。
各回路を個別に最適化することで、特性の改善と安定性の向上が図られています。
イコライザー回路には、全帯域にわたって低歪率かつ安定した動作が得られる2段P-K・NF方式を採用。
さらに中高域での耐入力特性を高めるため、出力段の動作点を電流重視に設定しています。

パワーアンプ部の出力管には、内部抵抗が低く、裸特性に優れた三極管 50CA10 を採用し、ABクラス動作としています。
この出力管の性能を十分に引き出すため、出力トランス（OPT）は本機専用に新設計されたものが用いられています。

機構面についても全面的な見直しが行われており、信号経路の単純化やプリント基板化を採用することで、特性の向上と長期安定性を確保しています。
また、スピーカー切替やインピーダンス切替といった余分なスイッチを排除し、不要な接点通過による音質劣化を防ぐ構成としています。

音量ボリュームおよびバランサーには、左右チャンネル間の連動誤差をほぼ無視できる精度を持つ
マルチ摺動子タイプの高精度ボリューム を採用しています。

■ 製品状態・レストア内容
LX38本来の音質と信頼性を、長期にわたり安定して発揮させることを目的とし、スイッチ類からボリューム回路に至るまで徹底したメンテナンスを行いました。
すべて一度完全分解のうえ、接点の状態を確認しながら一点ずつ丁寧に研磨。
酸化・硫化防止処理を施して組み上げています。

回路部品については、音質・信頼性・将来性を総合的に判断し、厳選した部品を使用しています。
カップリングコンデンサについては、オリジナルの音調を損なわないよう、オリジナルと同じフィルムコンデンサ を採用しています。

また、出力トランス（OPT）からスピーカー出力にかけての配線は、信号伝送の安定性を考慮し OFC線材 へ変更しています。

本機は、設計当時に意図された38シリーズらしい音楽性を尊重しつつ、現代の使用環境においても安心してお使いいただける状態へ整えた一台です。
※USED品のため、外装には経年によるスレがあり、
一部RCA端子のメッキに薄れが見られます。

■ 交換済部品
・ダイオード
・真空管ソケット
・フィルムコンデンサ
・タンタルコンデンサ
・電解コンデンサ
・ブロックコンデンサ
・半固定抵抗
・出力リレー
・ヒューズ

■ 主な仕様（メーカー公表値）
連続実効出力：
・30W＋30W（8Ω／4Ω）
・25W＋25W（16Ω）
・25W＋25W（8Ω、両ch動作、50Hz〜15kHz）

全高調波歪率（8Ω）：
・0.1％以下（10W、1kHz）
・0.4％以下（定格出力時、1kHz）
・1％以下（定格出力時、50Hz〜15kHz）

混変調歪率：0.4％以下（8Ω、定格出力時、60Hz：7kHz＝4：1）
周波数特性：30Hz〜40kHz（−1dB、8Ω、1W）
ダンピングファクター：16以上（8Ω、1kHz）

入力感度：
・Phono1／2：2mV
・Tuner／Aux1／2／Monitor1／2：160mV

SN比（IHF-A補正、入力ショート）：
・Phono1／2：75dB以上
・Line系：95dB以上

トーンコントロール：
LUX方式NF型（湾曲点切替・defeat可能）
・低域：150Hz／300Hz／600Hz
・高域：1.5kHz／3kHz／6kHz

使用真空管：
・50CA10×4
・6AQ8×2
・6267×2
・12AX7×3
・12AU7×1

消費電力：150W
外形寸法：幅440×高さ162×奥行343mm
重量：20.1kg

■ 付属品
なし