Sansui AU-666
メーカー：Sansui｜発売年：1970年

製品概要
Sansui AU-666は、1970年に登場したプリメインアンプの中でも、回路思想の完成度の高さで評価されているモデルです。
メインアンプ部には2段差動増幅回路を採用し、出力段にはPNP／NPNトランジスタを用いた出力コンデンサレス・プラス／マイナス2電源による完全直結、完全コンプリメンタリ・ダーリントン回路を構成しています。

この設計により、直流域からオーディオ帯域全体にわたり均一な負帰還（NF）がかかり、ダンピングファクターや出力特性は超低域まで安定。
スピーカー低域での不要な動きを抑え、アンプ・スピーカー双方の混変調歪を低減しています。
また、PNP／NPNの対称動作によって歪成分が相互に打ち消され、アンプ自体の歪も低く抑えられています。

プリアンプ部には、選別された低ノイズ・シリコントランジスタを使用し、ノイズレベルを極力抑えた構成となっています。
位相歪や伝送特性への影響を考慮し、カップリングコンデンサには電解コンデンサの使用を最小限に抑え、直結回路を多用するとともに、適所にマイラーコンデンサを採用。
電解コンデンサが必要な箇所についても、マイラーコンデンサを並列使用することで高域特性の改善が図られています。

Bass／Trebleに加えMidrangeも調整可能なトリプルトーンコントロールを搭載し、左右独立での調整が可能。
プログラムソースやルームアコースティックに応じた、きめ細かな音質補正が行えます。
また、プリアンプ部とメインアンプ部を分離して使用できる事も特徴です。

製品状態・レストア内容

製品の特性を考慮し、音質・信頼性・将来性を重視したメンテナンスおよび最適化を実施しています。
単に動作を回復させるのではなく、長期使用を前提とした安定性と再現性を重視した内容になっております。

・劣化・不良トランジスタの交換
　経年劣化や特性変動が確認されたトランジスタは、オリジナル新品部品へ交換。
　動作点の安定化と歪の増加抑制を図っています。

・コンデンサ類の交換・選定
　容量抜けやESR劣化が見られる部品は交換を実施。
　数値だけでなく実機試聴を行い、音のバランスや質感を確認したうえで選定しています。

・全基板の再ハンダ（既存ハンダの完全除去・再施工）
　長年の熱や振動により、　ハンダ接合部は目に見えない劣化や内部クラックを生じやすくなります。
　本機では、すべての部品の既存ハンダを一度吸い取り、　あらためてハンダをやり直す工程を行っています。

・基板洗浄・コーティング処理
　基板上の汚れやフラックス残渣を除去し、湿気や埃の影響を受けにくい状態へ整備。
　環境変化による特性変動や腐食リスクを低減します。

・スイッチ・ボリューム類の完全分解整備
　すべて分解し、接点を一点ずつ研磨。
　酸化・硫化防止処理後に組み上げることで、ガリ音や接触不良を防ぎ、操作感と信頼性を両立しています。

・RCA端子の金メッキ化
　接触抵抗の低減および耐腐食性向上を目的に、高信頼性の金メッキRCA端子へ交換。
　長期使用でも安定した信号伝送を維持します。

・電源コードの変更
　電源供給経路を見直し、瞬時電流供給能力の向上と動作安定性の改善を図っています。
　負荷変動時でも、アンプ本来の性能を発揮しやすい状態に整えています。

本機は、設計当時に意図された性能を、現代の使用環境で再び発揮できる状態へと蘇らせた一台です。
安心して日常的にお使いいただけることを前提に、音質・信頼性の両面から丁寧に整備を行いました。
※USED品のため、外装には経年によるスレや小傷があります。

保証・アフターサポート

本機には、ご購入日より1年間の動作保証をお付けしています。
通常使用における不具合については、Crafted Audio Services にて点検・対応いたします。
また、保証期間終了後についても、Crafted Audio Services にて継続的なメンテナンスが可能です。

交換済部品
・ダイオード
・トランジスタ
・電解コンデンサ
・ブロックコンデンサ
・半固定抵抗
・RCA端子
・DIN端子
・ヒューズ
・電源コード

主な仕様（メーカー公表値）

実効出力：45W＋45W（4Ω）／35W＋35W（8Ω）
周波数特性：10Hz〜70kHz（±1dB）
プリアンプ／メインアンプ分離使用可能
トリプルトーンコントロール搭載

付属品
なし（本体のみ）