Sansui AU-α907i 修理実績

 

 

Sansui AU-α907i
右チャンネル音切れの原因と修復

経年劣化したSP出力リレーとドライブ基板はんだクラック——
「07シリーズ」最上位機の本来の音を取り戻すまで

 

今回の修理について

SANSUI AU-α907i。SANSUIが誇る「07シリーズ」の最上位機種として、1990年代のオーディオシーンを牽引した一台です。今回は「右チャンネルの音が出たり出なかったりする」という症状でご依頼をいただきました。

このような断続的な音切れは複数の原因が絡み合うことが多く、診断には回路図調査と実測の両アプローチが必要です。今回もSP出力リレーの接点劣化とドライブ基板上のはんだクラックという、いずれも経年劣化に起因する2つの不具合が重なって発生していました。

修理対象 SANSUI AU-α907i
申告症状 右ch音が出ず、急に出たりする
主な作業 SP出力リレー交換 / ドライブ基板はんだ修正 / 各部クリーニング
修理完了 2025年3月

Diagnosis

確認された不具合:2つの根本原因

通電確認では左チャンネルは正常出力、右チャンネルは完全に無音。まず疑うべきはSP出力リレーです。

不具合① SP出力リレー接点不良

リレー接点が経年劣化により酸化・汚損し、通電不良を引き起こしていました。本機に使用されていた松下電器製リレーは製造から数十年が経過しており、密閉型でないため内部への微細な汚染が進行。接点をオープンにした状態でも酸化膜の形成が確認されています。

不具合② ドライブ基板のはんだクラック

基板を精査したところ、特定のトランジスタ周辺のはんだにクラック(ひび割れ)を発見。長年の熱サイクルによる膨張・収縮の繰り返しがはんだを疲労させ、断続的な接触不良を招いていました。また製造時の基板固定ボンドが加水分解し、半導体のリード部に腐食を引き起こしていた箇所も併せて確認・処置しています。


Repair Process

作業工程

1
状態確認・診断
申告症状の再現確認、回路図・図面調査、測定器による各部電圧・波形チェック。不具合箇所の特定と対応方針の決定。
2
部品選定・調達
オリジナルの松下製リレーに対し、OMRON製密閉型リレー(G4W-2214P-DC24)を選定。特性・サイズ・定格を確認のうえ調達。
3
部品交換・基板修正
SP出力リレーを両ch同時交換。ドライブ基板はフラックス塗布後に旧はんだを除去し、無鉛はんだで再施工。ボンド腐食箇所の清掃処置も実施。
4
クリーニング
SP端子・RCA端子の酸化除去、ボリューム・スイッチ類のエアブロー清掃、外装クリーニング。
5
動作確認・エージング
各スイッチ動作・入出力波形を確認後、50時間の長時間エージングを実施。全項目クリアにて完了。

Parts

交換部品

部品名 旧部品 交換品 数量
SP出力リレー 松下電器製 OMRON G4W-2214P-DC24 2個(両ch)

片側のリレーが劣化している場合、製造年代が同じもう一方も同等に疲弊しています。再修理のリスクを避けるため、両チャンネル分を同時交換しています。


Results

修理後の確認

各スイッチ動作・入出力波形チェック、50時間エージングをすべてクリア。右チャンネルの音切れは完全に解消され、はんだ修正により音の立ち上がり改善と左右バランスの均一化も確認しました。

From our technician

技術者

担当技術者より

Crafted Audio Services

AU-α907iは私自身も愛用している一台で、「07シリーズ」の設計思想が随所に凝縮されています。 今回の作業でも改めてその精巧さを実感しました。だからこそ「相応しい仕上がりにしなければ」という思いで、細部まで妥協せず取り組みました。

この機種をお持ちの方で「音が出たり出なかったりする」という症状が出ている場合、今回と同じ組み合わせの可能性があります。

諦めずに一度お気軽にご相談ください。